チロルの空想世界

オリジナル小説を載せてます。良かったら読んでいってくださいね。

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

お屋敷の残響(9)

行かないと やっぱりあのお屋敷に行かないと! お屋敷へと私の足を動かしている本当の理由が露わになりはじめた。 子供の時、確かに行った。 隣にいるのはハルナ。 彼女は怖がって私の腕にしがみついていた。 私は家を飛び出して山へ向かった。 昨夜通った道…

アコルト(21)

学校もバイトも休んで丸二日かかりっきりで看病していたためか、関係ないのか、熱は下がり、いつも通り元気になった。 おかげで俺はお粥の作り方をマスターした。 お粥はアレンジもきくし、ヘルシーだと思う。 風邪の時くらいしか用はないのだが、普段から食…

お屋敷の残響(8)

自分でも知らないうちに「大人」になってしまっていた。 大人っていつから? 成人式迎えたら大人? 責任取れるようになったら? 分別がつくようになったら? 肉体的、社会的、感情的指標。 そんなものを学び、受け入れ、徐々に別のものを失ってきた。 それが…

アコルト(20)

今まで自分の杓子定規で世の中を見てしまっていたことに気付かされた。 その家庭、家庭によってそれぞれの事情があるのは当然だ。 きっと小野の育った環境にも複雑な事情があるのだ。それはもう、薄々分かっていたことじゃないか。 それより、今は小野の体調…

お屋敷の残響(7)

一歩を踏み出した先は斜面になっていたため、想定した場所に地面がなく、盛大に重心を崩して、また転んだ。 倒れた姿勢のまま少し滑り落ちて、木の葉や枝がガサガサ騒いだ。 しかし、その音のおかげで私の場所が伝わったらしい、相手もこちらに近寄ってきて…

アコルト(19)

寒く氷点下の日が続いた。 せっかく連れて帰って来たのに、それからも小野は外泊することが多くなった。 高岡さんの家に泊まっているわけでもないようだ。 どこに泊まっているのか、理由も聞いていないが、仕事が忙しくなったんだと勝手に納得していた。 そ…

お屋敷の残響(6)

先ほどの岩も記憶より小さく感じたのだ。印は思っているより下の方に付いているのかもしれない。 知らぬ間に私は大きくなっていたのね。小さかった頃の自分の背丈を思い出し少し屈んでみた。 これくらいだったかしら。 身体測定で身長を測っていた時を思い出…

お絵かき

久しぶりにお絵かき。 今回は女の子です。 背景はお借りしてきました。 絵が背景に溶け込んでしまいました…まだまだ練習が必要です(^_^;)

アコルト(18)

奥さんはブツブツ何か言いながら本棚を探し始めた。 高岡さんが後ろから これじゃないのか? これか? とせっせと手伝っていたが結局、ピアノの上のぬいぐるみの下から出てきた。 年季が入った薄い楽譜だった。 所々茶色く変色し、開いてみると閉じられてお…