チロルの空想世界

オリジナル小説を載せてます。良かったら読んでいってくださいね。

2015-01-01から1年間の記事一覧

メリークリスマス!

みなさんクリスマスはどのようにお過ごしですか? 残念ながらホワイトクリスマスにはなりませんでしたが、今年は38年ぶりの満月のクリスマスだそうですね♪ クリスマスということで、サンタクロースの絵を書いてみました。 お友達にあげた絵なんですけど、こ…

アコルト(37)

日付が変わる頃、玄関のドアが開いた。 いつものように疲れきった小野がベットに倒れこむ。 「髪伸びてきたな。そろそろ散髪しないか」 さりげなく散髪を促す。 「えー? まだ大丈夫だよ…」 寝てしまいそうになっている相手を布団から引き剥がしたが、また倒…

アコルト(36)

「たくさん洗濯したのね」 カーテンレールと部屋に張った紐にずらっと並べて部屋干ししている小野の服を見渡して、平野さんが言った。 変に思われただろうか。 「ちょっと洗濯したい気分になったんですよ」 慌てて取り繕って買ってきた服をクローゼットに押…

アコルト(35)

何度も後ろを振り返り、つけられていないことを確認しながらマンションへ急いだ。 これ、俺が不審者だな。 でもそうしないと落ち着かない。 ずっと誰かに非難されているような疎外感がついて回った。 マンションにつくと、大家さんの所に寄らずにまっすぐ自…

アコルト(34)

物音で目が覚めた。 時計を見ると針は6時前指している。 俺は洗濯機の前でうずくまったまま寝てしまっていようだ。 ああ…体の節々が痛い。 変な格好で寝ていたせいか、風邪をひいてしまったのか。 重い体を起こして部屋を覗くと、 小野がクローゼットに上半…

アコルト(33)

「やっぱアクセサリーがいいんじゃないですかぁ? 指輪とか! 私もほしい」 「いや、だからそういう相手じゃないんだ」 人の話しを聞いていたのだろうか。否定してもなお後輩は意地悪な視線をこちらに向けてくる。 もういい、他の奴に聞くよとその場から立ち…

アコルト(32)

「はじめて声をかけたのは、あの事件が起こった時だったね」 それは小野が酔っぱらいに絡まれた日だ。 考えてみると高岡さんたちと話すようになってまだ数ヶ月しか経っていない。 もっと前から知り合っていた気がしていた。 「正直家に来てもらったのは緩和…

アコルト(31)

クリスマスに向けて資金調達をする必要が出来た。 そのため単発バイトを入れ、バイトに明け暮れる日々が続いた。 そんなある日、ヘトヘトになった体で最寄り駅を降りると高岡さんと会った。 「お、久しぶりだね」 「あ、ご無沙汰してます」 高岡さんに会うに…

アコルト(30)

「久しぶりに家族で食事したって感じでなんだか照れくさかったです」 「たまにはああいうのもいいわね」 高岡家から自分たちのマンションに帰るまでの短い道すがら、ゆっくり歩きながら俺たちは話した。 「そういえば奥さん体調は大丈夫なんでしょうか。食事…

アコルト(29)

帰り道、高岡さんとばったり会った。 「二木くん。晩御飯の買い物か?」 「あぁ、これは高岡さん家の……」 そこまで口にして、あっと口をつぐんだ。 言っていいのだろうか。 奥さんが臥せっていて家事がそのままになっていたということを。 高岡さんは「ん?…

アコルト(28)

部屋をうろうろしているだけの俺に対し、小野はテキパキと家事をこなしていく。 食器は食器棚のそれぞれの所定の位置にしまわれ、ゴミは分別されて庭にあるポリバケツのゴミ箱へ、押入れから掃除機を取り出してかけ始める。 どれだけ家のこと知ってるんだ。 …

アコルト(27)

奥さんが寝ているならあまり音を立てたりはしない方がいいよな。 小野もそう思ったのかピアノには近づかなかった。 そういう気遣いは出来るらしい。 せっかく自分の腕前を披露しにきたのに、残念だろうな。でもまぁ次の機会にでも。 お湯が沸き、ヤカンから…

アコルト(26)

数日後、小野と都合を合わせて、高岡さんの家に行った。 家のチャイムを押そうとすると、小野が「ちょっと待って」と言ってトレーナーのポケットをゴソゴソ漁った。 中からガチャガチャと金属音が響いてくる。 一体なにが入っているんだ。 右手左手と交互に…

そろそろアイコン変えたい

新しいアイコン用に描いてみたんですが…… アイコンの大きさから考えて、あんまりごちゃごちゃ描いちゃうと何の絵なのか分からなくなるんですよね; ってことでこの絵はボツです。 でも、せっかく描いたのでUPしときます(^_^;)

アコルト(25)

金曜の夜だった。 大学の連中に付き合って繁華街をうろついていると、平野さんらしき人を見かけた。 白と青の花がらのワンピースに真っ白の高いヒール。 髪を後ろでアップにしてキラキラ光を反射する蝶型のバレッタで止めている。 普段の地味な彼女ではない…

アコルト(24)

小野は俺に自分を見せようとしてくれている。 俺が下らない嫉妬をしたせいか。 しかし、目の前の小さな男が背負っているもの、失ってきたものが自分が想像していたものよりも大きすぎた。 「色々あったんだな……」 環境にも、境遇にも恵まれた俺からは実に薄…

お屋敷の残響 あとがき

無事書き終わりました。 最後まで読んで下さった方々、ありがとうございました! スターやブックマークを頂いたことは書く励みになりました。本当にありがとうございますm(__)m このブログでは、あまり肩に力を入れず大体の話しの流れが形になればいいかなく…

お屋敷の残響(11) 最終話

頼りないバランスで支えられている私の体。少しでも動いたら落ちてしまう。 ハルナが振り返る。 その顔に助けを求めた。 しかし、彼女は踵を返し、階段を走り降りて行った。 ああ…… そういうことだったんだ。 欠けた記憶のPEACEが全て繋がった瞬間だった。 …

アコルト(23)

少し歩くと小野が口を開いた。 「名前は陸斗。もうすぐ2歳になるんだ」 赤ちゃんについてはさっぱり分からない。2歳くらいの子の認知機能はどれほどなんだろう。一緒にいなくていいのだろうか。 「嫁さんとあの子と一緒に暮らしてないのか?」 「嫁さんじ…

お屋敷の残響(10)

カビと埃を含んだ空気。 そして、饐えた臭いが漂ってきた。 一歩足を踏み出すごとに床がギシギシ鳴る。気をつけないと踏み外してしまいそうだ。 中には家具が置かれたままとなっており、エントランスには灰色になったソファーとサイドテーブル、暖炉が備え付…

アコルト(22)

奥さんの話しによると、子どもの存在を知ったのは、小野が高岡さんの家に泊まり始めた頃だという。 ある日突然、仕事に行っている間預かっていてほしいと連れてきたのだという。 それから、時々こうやって遊びに来たり、預かったりしているらしい。 どうして…

お屋敷の残響(9)

行かないと やっぱりあのお屋敷に行かないと! お屋敷へと私の足を動かしている本当の理由が露わになりはじめた。 子供の時、確かに行った。 隣にいるのはハルナ。 彼女は怖がって私の腕にしがみついていた。 私は家を飛び出して山へ向かった。 昨夜通った道…

アコルト(21)

学校もバイトも休んで丸二日かかりっきりで看病していたためか、関係ないのか、熱は下がり、いつも通り元気になった。 おかげで俺はお粥の作り方をマスターした。 お粥はアレンジもきくし、ヘルシーだと思う。 風邪の時くらいしか用はないのだが、普段から食…

お屋敷の残響(8)

自分でも知らないうちに「大人」になってしまっていた。 大人っていつから? 成人式迎えたら大人? 責任取れるようになったら? 分別がつくようになったら? 肉体的、社会的、感情的指標。 そんなものを学び、受け入れ、徐々に別のものを失ってきた。 それが…

アコルト(20)

今まで自分の杓子定規で世の中を見てしまっていたことに気付かされた。 その家庭、家庭によってそれぞれの事情があるのは当然だ。 きっと小野の育った環境にも複雑な事情があるのだ。それはもう、薄々分かっていたことじゃないか。 それより、今は小野の体調…

お屋敷の残響(7)

一歩を踏み出した先は斜面になっていたため、想定した場所に地面がなく、盛大に重心を崩して、また転んだ。 倒れた姿勢のまま少し滑り落ちて、木の葉や枝がガサガサ騒いだ。 しかし、その音のおかげで私の場所が伝わったらしい、相手もこちらに近寄ってきて…

アコルト(19)

寒く氷点下の日が続いた。 せっかく連れて帰って来たのに、それからも小野は外泊することが多くなった。 高岡さんの家に泊まっているわけでもないようだ。 どこに泊まっているのか、理由も聞いていないが、仕事が忙しくなったんだと勝手に納得していた。 そ…

お屋敷の残響(6)

先ほどの岩も記憶より小さく感じたのだ。印は思っているより下の方に付いているのかもしれない。 知らぬ間に私は大きくなっていたのね。小さかった頃の自分の背丈を思い出し少し屈んでみた。 これくらいだったかしら。 身体測定で身長を測っていた時を思い出…

お絵かき

久しぶりにお絵かき。 今回は女の子です。 背景はお借りしてきました。 絵が背景に溶け込んでしまいました…まだまだ練習が必要です(^_^;)

アコルト(18)

奥さんはブツブツ何か言いながら本棚を探し始めた。 高岡さんが後ろから これじゃないのか? これか? とせっせと手伝っていたが結局、ピアノの上のぬいぐるみの下から出てきた。 年季が入った薄い楽譜だった。 所々茶色く変色し、開いてみると閉じられてお…