チロルの空想世界

オリジナル小説を載せてます。良かったら読んでいってくださいね。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

アコルト(29)

帰り道、高岡さんとばったり会った。 「二木くん。晩御飯の買い物か?」 「あぁ、これは高岡さん家の……」 そこまで口にして、あっと口をつぐんだ。 言っていいのだろうか。 奥さんが臥せっていて家事がそのままになっていたということを。 高岡さんは「ん?…

アコルト(28)

部屋をうろうろしているだけの俺に対し、小野はテキパキと家事をこなしていく。 食器は食器棚のそれぞれの所定の位置にしまわれ、ゴミは分別されて庭にあるポリバケツのゴミ箱へ、押入れから掃除機を取り出してかけ始める。 どれだけ家のこと知ってるんだ。 …

アコルト(27)

奥さんが寝ているならあまり音を立てたりはしない方がいいよな。 小野もそう思ったのかピアノには近づかなかった。 そういう気遣いは出来るらしい。 せっかく自分の腕前を披露しにきたのに、残念だろうな。でもまぁ次の機会にでも。 お湯が沸き、ヤカンから…

アコルト(26)

数日後、小野と都合を合わせて、高岡さんの家に行った。 家のチャイムを押そうとすると、小野が「ちょっと待って」と言ってトレーナーのポケットをゴソゴソ漁った。 中からガチャガチャと金属音が響いてくる。 一体なにが入っているんだ。 右手左手と交互に…

そろそろアイコン変えたい

新しいアイコン用に描いてみたんですが…… アイコンの大きさから考えて、あんまりごちゃごちゃ描いちゃうと何の絵なのか分からなくなるんですよね; ってことでこの絵はボツです。 でも、せっかく描いたのでUPしときます(^_^;)

アコルト(25)

金曜の夜だった。 大学の連中に付き合って繁華街をうろついていると、平野さんらしき人を見かけた。 白と青の花がらのワンピースに真っ白の高いヒール。 髪を後ろでアップにしてキラキラ光を反射する蝶型のバレッタで止めている。 普段の地味な彼女ではない…

アコルト(24)

小野は俺に自分を見せようとしてくれている。 俺が下らない嫉妬をしたせいか。 しかし、目の前の小さな男が背負っているもの、失ってきたものが自分が想像していたものよりも大きすぎた。 「色々あったんだな……」 環境にも、境遇にも恵まれた俺からは実に薄…